弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第200回
会社の買収価格は

以前、景気は回復したのか
というお話をしました。
そのときも話したかもしれませんが、
会社の倒産の相談が激減しています。
一時期は、
相談者自身の会社の
倒産(再建も含みます)の相談か、
取引先が倒産したという
相談ばかりを受けていたのですが、
このところ、
個人の破産の依頼はあるものの、
会社の破産の依頼はほとんどありません。
弁護士の仕事も
その時々の状況によって変わるものです。

破産の申立の依頼はないのですが、
経営が行き詰りそうな
会社を買収する、
あるいは、経営者が高齢になって
事業をやめたい会社を買収するという
いわゆるM&Aの相談や
依頼は増えてきています。
通常、会社の買収は、
一般的には株の売買
という形式を取ります。
売買代金は、
資産−負債を基準に考えます。
だから、借入れなどが多い
債務超過の会社には、
値段がつかないということとなります。
ところが、中小企業の会社の
買収の相談を受けると、
会社の買収代金の基準は、
驚いたことに、
借金などの負債の額
あるいは株の額面額を
基準に決められることが多いのです。  

例えば、会社の負債が
5000万円、株の出資額が1000万円
というケースで、
会社のめぼしい資産が
ないにもかかわらず、
売主は、会社を売るなら
6000万円欲しいと言ってくるのです。
5000万円で、
会社の負債をきれいにして、
1000万円は、会社に投資した額を
回収するというもので、
売主にとっては、都合のよい話です。

しかし、会社の買収金額は、
過去に経営者が
どれだけお金をかけたかではなく、
現在あるいは将来に
どれだけの価値があるかで決まるものです。
そんな条件で、
買う人はいるわけないと
思っていたのですが、
そんなにその商圏が魅力的なのか、
お金持ちなのか、
人がよいのかわかりませんが、
そういう値段の決め方で
会社を買ってもよいと言う人がいるから、
不思議です。
そんな条件でも会社を買って
事業を拡大しよう
という人がいるのですから、
以前に比べれば
景気は良くなっているのかもしれません。


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2006年10月19日(木)

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