弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第205回
司法試験合格者が弁護士になれない

司法試験に合格したのに
弁護士になれない。
そんなバカなことが、あるんです。
それは、司法試験合格後に、
合格者が入所する
司法研修所の卒業試験に
合格しなかった場合です。
みなさん、このニュースは
新聞で大きく取り上げられたので、
ご存知かもしれません。

司法試験に合格すると、
1年4ヶ月間の研修を
受けなければなりません。
(以前は2年でした。
今後は1年になるようです。)
研修終了後に、卒業試験があります。
以前の司法試験合格者が
500人から700人のときには、
卒業試験に受からない人は
ほとんどおらず、いても数人でした。
だから、僕たちのころは、
落ちた人は、
よほど変わった人と思われていました。

ところが、今年の卒業試験に
受からなかった人は、何と、
107人もいたのです。
卒業試験の受験者は
約1500人だったそうです。
では、その前の2年間は、
どうだったかと言うと、
卒業試験の受験者が約1200人で、
不合格者が46人、31人でした。
要するに、合格者を増やしたところ、
不合格者が急激に増えたということです。

今後は、司法試験の合格者が
さらに増えて3000人となります。
弁護士に依頼する方の
みなさんにとっては、
これまでにはあまり考えられなかった
レベルの低い弁護士に当たる可能性がある
ということになります。
もちろん、これまでにも、
良い弁護士と
悪い弁護士はいましたが、
今後は、レベルの低い弁護士に当たる可能性が
これまでよりも増えるということです。

みなさん、ご注意ください
と言いたいところですが、
弁護士としてレベルが高いのか
低いのかは、
法律の知識を持たないみなさんでは
なかなかわからない
というところが難しいところです。

合格者数が少ないときの
弁護士の僕としては、
これによって、将来的に、
弁護士に対する信頼が
なくなって行かないことを
祈るのみです。


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2006年11月7日(火)

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