弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第207回
自筆の遺言を発見したら

遺言には、大きく分けて、
公正証書遺言
自筆証書遺言があります。

公正証書遺言は、
公証役場で公証人という人に
作ってもらう遺言書です。

これに対し、
自筆証書遺言
遺言をする人が自分で書いた遺言です。

公証人が作った遺言書は、
控えが公証役場にもありますし、
公証人は公務員ですから
あまり偽造などは
考えられません。
また、後からその遺言書に書き加えたり、
直したりすることも難しいです。
そこで、遺言をした人が
亡くなった後に、
特に手続は要求されておりません。
しかし、一般の人が
自分で書いた遺言書は、
そもそも遺言者本人が
自分でその遺言を
書いたものかもわかりませんし、
遺言書が後で紛失したり
内容が書き換えられたりする
可能性もあります。

そこで、法律(民法)では、
自筆証書遺言を発見した人や
保管していた人に、
裁判所に検認の申立を
しなければならない義務を課しています。

検認とは、裁判所で遺言の封を開き、
遺言の内容や形状を確認する手続です。
ドラマでは、弁護士が遺族を集めて、
その前で、故人が
弁護士に保管を依頼した
遺言書を開封して、
読み上げるというシーンがあります。
しかし、民法の規定からすると、
自筆証書遺言は
裁判所で開封しなければならないので、
弁護士はこのようなことを
してはいけないのです。
ちょっと味気ないですかね。

ちなみに、自筆証書遺言は、
全文が遺言者によって書かれており、
遺言者本人により
日付を記載して、
署名捺印がなされていれば、
封筒に入れて封をしていなくても有効です。


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2006年11月14日(火)

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