弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第211回
家を差押えられても

みなさん、普通、
家を買うときには、
住宅ローンを利用するでしょうから、
マンションや戸建に抵当権が設定されます。

住宅ローンが支払えなくなると、
銀行は、この抵当権を
実行することとなります。
この抵当権の実行ですが、
銀行がマンションなどの所有権を
取得するわけではありません。

住宅ローンなどの
借金の相談に乗っていると、
多くのみなさんが、
住宅ローンの支払いを停止すると、
文字通り銀行に
取られると思っているようです。
しかし、銀行には、
マンションなどを
自分のものにする権利はありません。
銀行は、競売にかけて、
その代金から
住宅ローンの支払いを
受ける権利だけを持っています。
だから、住宅ローンの支払いを止めると、
マンションなどに差押えがなされます。

そして、裁判所の執行官という職員が、
マンションなどの使用状態を確認し、
価格を評価するために
やってきます。
この執行官は、
人が誰もいなければ、
勝手に鍵を開けて入ることができます。

その後、裁判所が
マンションの価格などを決めて、
売りに出すのが入札です。
最近は、新聞にも
競売の入札情報が掲載されるので、
みなさんご覧になったことがあるでしょう。
この差押えから入札までは、
大体、半年と言われています。
そして、入札から
最終の代金の支払いまでが
約1ヶ月と言われていますから、
おおよそ差し押さえられてから、
7ヶ月くらいは、
競売にかけられたマンションなどに
住み続けることができます。

もちろん、自分のものですから、
家賃を支払う必要はありません。
だから、マンションなどの自宅を
差し押さえられたからといって
慌てることはありません。
今後をどうしたらよいか、
弁護士などと相談して、
落ち着いて考える時間はあるのです。


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2006年11月28日(火)

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