弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第210回
少額訴訟は自分でやってみる

前回、少額の訴訟は、
弁護士などに依頼すると、
弁護士費用が、請求したり、
請求されたりしている額と
近くなってしまい、割に合いません。
逆に、弁護士にとっても、
手間、労力は普通の訴訟と
同じだけかかるのに、
費用は少ししかもらえないので、
割に合わないというお話をしました。

では、どうすればよいかというと、
自分でやってみるということです。
特に、少額の売掛金の支払いが
滞ることがあるという会社には、
自社の従業員で
訴訟をしてみることをお勧めします。
会社が当事者の訴訟は、
原則として、
社長が出席しなければなりません。
簡易裁判所での訴訟は、
裁判所の許可を取れば
社長でなく会社の従業員が
訴訟をすることができます。
ちなみに、簡易裁判所で行なう裁判は、
請求金額が140万円以下のものです。

会社の場合、訴訟の種類が、
少額の売掛金の回収に
限られているので、
従業員も覚えやすいです。
最初は、費用がかかっても
弁護士に依頼して、
訴訟を担当の従業員といっしょにやってもらい、
その後は、従業員が1人で
訴訟を担当するようにしたらよいと思います。
同じような訴訟であれば、
訴訟で提出する書面は、
そのときに弁護士が作成した書類を
利用することが可能です。
弁護士と顧問契約を結んでおけば、
訴訟でわからないことがあったら、
その都度聞きながら
訴訟をすることが可能となります。 

会社でない場合には、
同じような訴訟を
何度も自分でやる
ということは少ないでしょうが、
せっかくの機会ですから、
訴訟がどういうものか勉強するつもりで、
自分でやってみましょう。

これからは、
国民の誰もが裁判員となり、
裁判所に行く可能性がある時代です。
少額訴訟くらい
自分でやってみる
そういう気持ちも必要かもしれません。
ただ、最初に、
自分の請求や主張が
通る見込みがあるかどうかは、
弁護士に相談した方がよいと思います。


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2006年11月23日(木)

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