弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第219回
加害者にお金のない場合

被害者は、加害者に対し、
民事でも刑事でも
責任を追及することができる
というお話をしています。
しかし、犯罪をするような人は、
一般的に言って
財産を持っていない人が多いです。
だから、仮に、被害者が、
民事裁判を起こして、
損害賠償請求が認められたりしても、
実際にお金が取れない場合が多いのです。

現在、このようなケースの一部だけは、
国が被害者に対し、
犯罪被害者給付金という制度により、
お金を支給することとなっています。
どういうケースかと言うと、
加害者が故意にやった犯罪で、
被害者の生命や
身体に重大な傷害を与えたような場合です。

故意犯に限られていますので、
交通事故のような
過失犯については給付金は出ません。
生命や身体に
重大な傷害を与えた場合なので、
殺人や傷害、強盗などに
適用されるのであって、
詐欺や横領などの犯罪には、
適用がありません。

金額も、被害者の方が亡くなった場合でも
最高1500万円くらいなので、
損害が全額賠償されるわけではありません。
しかし、急に、
身内の方が犯罪に巻き込まれて、
生活に困ってしまう
遺族の方もいらっしゃるでしょうから、
不十分ではありますが、
利用できる方は
利用されることをお勧めします。
知り合いに、そのような方がいらっしゃったら、
みなさん教えてあげてください。

請求できるのは、
犯罪で死亡又は
重傷を負ったことを知ってから
2年以内と期間は、意外に短いです。
この犯罪被害者給付金の適用がない犯罪で、
被害を受けた方
(例えば、詐欺の被害に遭ったような方)は、
どうかというと、
加害者に資力がない場合、
法律の手続によって
被害を回復するのはかなり難しいです。
残念ながら、今の法制度では、
泣き寝入りになってしまう可能性が高いです。


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2006年12月26日(火)

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