弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第231回
法律用語を多用する弁護士

先日、法律知識のない一般の方と
事故に関する弁護士の話を聞く機会がありました。
その弁護士の話は、
格調が高いというか、話し方も堅いのですが、
話の中で、法律用語がたくさん出てくるんです。

僕は、弁護士ですから、
もちろん法律用語はわかりますが、
法律知識のない一般の方は、
よく聞いていられるな。
というか、聞いているのかな。
と思って聞いていました。
それから、この弁護士は、
依頼者と話すのも、
こんな感じで話すのかな?と思っていました。
抽象的に言っても、
わからないと思いますので、
ちょっと例を挙げます。

事故を起こした人が
どういう責任を負うかという話の中で、
みなさんが、いきなり、

「故意または過失がなければ民事責任を負いません。」

「過失があると言えるためには
予見可能性と結果回避可能性が必要です。」

と言われたらどうでしょうか?
「・・・?」という感じで、
眠くなってしまうんじゃないでしょうか?
僕なら、

「事故を起こした人は、
損害賠償責任を負うことになります。」

「でも、事故を起こせば
常に損害賠償をしなければならないかというと、
そうではなくて、わざと事故を起こした場合と
ミスで事故を起こした場合に責任を負うこととなります。」

「このわざと事故を起こす場合を故意と言い、
ミスで事故を起こした場合を過失と言います。」

「この過失があると言えるためには、
事故を予想できたかどうかで決まります。」
という感じで説明しますね。
どうでしょうか?

このHiQの連載でも、
法律相談でも、一般の方を対象とする講演でも、
みなさんにわかりやすい説明を心がけているつもりです。
もちろん、裁判では、法律用語を使いますよ(笑)。

弁護士の中には、
法律知識のないみなさんが
法律相談に行ったときに、
法律用語を多用する弁護士がいます。
そういう弁護士がよいかどうかは、
みなさんの好みですが、
僕は、そういう弁護士ではありません。


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2007年2月8日(木)

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