弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第244回
地上げ屋復活か?

ニュースによれば、
公示地価が全国平均でも上昇に転じたそうです。
東京の都心では、バブルの再来かと言われているくらい
地価が上昇している場所もあるようです。

バブル経済崩壊後、これまでは、
不動産は値下がりするリスクの大きい資産とされてきました。
しかし、これだけ地価が上昇し、
利益が出るということとなると、
そこに絡んで一儲けをしようと思う人たちが出てきても
不思議ではありません。

最近、多くなってきたのは、
老朽化ビルの明け渡しの相談です。
老朽化ビルを安く買い取って、
テナントに出て行ってもらって、
建替え可能な状態にするか、
あるいは建替えをするかして、
高値で転売する目的なのでしょう。
老朽化ビルを買い取った会社は、
不動産投資を目的とする会社が多く、
しかも、購入してすぐに、
テナントに立ち退きを求めてきます。
確かに、老朽化したビルは、
新しく建て直すことによって、
より多くの収益を産む物件にもなるし、
耐震性などの安全性も高めることとなるでしょう。
しかし、老朽化したビルに入居しているテナントは、
長年そこで商売をしてきたことにより、
商圏を築いています。
移転することにより生じる損害は、
移転費用だけではありません。
営業的にも、かなりの損害が発生するのが普通です。

そこで、借地借家法では、
テナントなどの賃借人が保護されています。
期間の定めがある賃貸借契約では、
期間満了の6ヶ月前から1年以内に、
正当な理由があるから更新できないという通知をしなければ、
契約期間が満了しても、
契約を終了でできないこととなっています。
しかも、この正当な理由には、
ただ単に老朽化して建替えが必要だということではなく、
客観的にどれくらい建て替えが必要で、
どういう建替え計画をするか、
テナントに対しどれくらい補償をするかなどが
具体的に定められていることが要求されます。

しかし、不動産投資会社は、
これらの法律を無視して
荒っぽい交渉で立ち退きを求めてきています。
以前のバブル経済のときに流行った
地上げ屋が復活したのかもしれません。


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2007年3月27日(火)

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