弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第260回
有力な証拠となるのは

お金の貸し借りや契約のトラブルになった場合、
話し合いで解決ができなければ、
訴訟になります。
訴訟になると、
どちらの言い分が正しいかは、
証拠によって判断されます。
もちろん、人の証言も証拠となります。

しかし、人の記憶はあいまいのことも多いし、
裁判になると自分に有利に証言するのが普通ですから、
あまり裁判上有力な証拠とはなりにくいです。
そこで、裁判では書類として残っているものが、
有力な証拠とされます。
ただ、こちら側が作成した書類では、
相手方がその内容を認めていたとは限らないし、
後から作ることも可能ですから、
証拠としての価値が下がります。
一番有力な証拠となるのは、
相手方の作成した書面です。

相手方が書類の作成当時、
こちらの請求を認める記載をしていれば、
裁判所も、当事者間で、当時から、
その内容で約束していたことがわかるからです。
相手が署名捺印をして、
しかも、印鑑は実印であれば、問題はありません。
しかし、そうでなくても、
相手方からファックスやメールで送られてきた文書も
有力な証拠となります。
録音テープや録画したビデオも、
もちろん有力な証拠となります。

お金の貸し借りについては、
いつ、いくら貸して、いつ返済してくれるのかを、
取引の際には、いつ、どのような商品を提供して、
いつ、代金を払ってもらうのかを、
その他、特別に免除してくれる、
あるいはサービスとして何かをしてくれるなど
こちらに有利なことを相手が認めた場合は、
書類に書いてもらって残しておきましょう。





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2007年5月29日(火)

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