弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第269
詐欺となるケース

詐欺と単なる約束違反は違うという話をしています。
相手が、「代金を支払う」
あるいは「お金を返す」と約束したにもかかわらず、
みなさんに対して「代金を支払わない」
あるいは「お金を返さない」ときに、
どういう場合だと詐欺となるのでしょうか?
それは、相手が、最初から支払うつもりがない場合です。

最初は、お金を支払うつもりだったけれども、
その後に事情が変わって、
払えなくなったというケースでは、
詐欺とはなりません。

例えば、お金を30万円貸したとしましょう。
借りた方は、ボーナスで払おうと思っていましたが、
ボーナスが出なかったので、返せなくなったというケース。
借りた方の会社がそれまでボーナスを出していたけれども、
突然ボーナスを出さなかったという場合には、
借りた方が、最初から返済するつもりがなかったとは言えません。
したがって、詐欺にはなりません。
単なる約束違反ということとなります。

しかし、借りたお金を返す義務があることはもちろんです。
会社の取引でも商品を納めたけれども、
相手が代金を払わないだけでは詐欺にはなりません。
相手が、購入した商品を仕入れ値よりも安く、
ネットオークションで売却している、
あるいは、同じ時期に複数の取引先から大量に商品を仕入れて、
いっせいに代金を支払わない、
このような事情があれば、相手は、
最初から代金を支払うつもりがなく、
仕入れをしたと言えますので、詐欺になります。

実際は、詐欺でも、
相手が最初から支払うつもりがなかったかどうかは、
相手の財務内容などがわからないと立証できません。
だから、警察もなかなか動いてくれません
だから、詐欺に遭わないように注意するのが大切です。





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2007年6月28日(木)

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