弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第279回
エビに、真珠に、沈没船で高配当?

バブル崩壊後、
失われた10年とか15年などと言われています。
では、みなさんお金を持っていないのか
というとそうではないようです。
ここ10年で、
投資を名目とした大型詐欺事件が続発しています。
お金が無ければ、
いくら儲かるという話を聞かされても、
詐欺には引っかからないわけです。

被害者となった人たちは、
虎の子のお金を少しでも多くしようと
詐欺に引っかかってしまったようなのです。
投資という名目でお金を騙し取った大型詐欺事件は、
平成9年の経済革命倶楽部(いわゆるKKC)事件から始まり、
抵当証券を使った大和都市管財、
健康食品を対象にした八葉物流、
広告料を利用したジーオーグループ、
IP電話中継基地のオーナーを名目にした近未来通信、
沈没船の引上げによる配当を謳ったリッチランド、
真珠のキュート、
そして、今回エビの養殖のワールドオーシャンファームなど、
いずれも何十億何百億円を集めています。
投資の対象となった商品は、
それぞれ違いますが、手口は、ほとんど同じです。

高利回りを謳い、
投資をさせて、
実際の事業の利益から配当をしていたのではなく、
集めた出資金を配当に回していたというものです。
そして、最後には配当ができなくなって、
出資者から苦情が出て、詐欺が発覚しています。
100万円を投資してもらって、
利回り年10%を約束しても、
投資してもらった100万円の中から
毎年10万円ずつ配当しておけばいいわけですから、
実際はお金を投資してもらっても、
何もしなくてもいいのです。
自分たちの取り分を半分の50万としても、
5年間は配当を続けることができますから、
その間は、出資者に利回りのよい投資商品だと
思い込ませることができます。

600億円も集めたら、
半分の300億円を配当することによって
5年は出資者を騙し続けることができ、
残りの300億円は、その間に、
使うなりどこかに隠すなりすることができてしまいます。
もちろん、営業経費に取られる部分もあるでしょうが、
それでも、
数十億円を抜いたりすることは簡単なのではないでしょうか?
投資名目にした詐欺は、ほとんどこういう構図です。
だから、配当がなされたからと言って、
信じてはいけないのです。





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2007年8月2日(木)

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