弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第284
不動産の仲介と売買の違い

最近、不動産が値上がりしているので、
みなさんも不動産取引に関心があることだと思います。
不動産の売買で出てくるのが、
不動産業者、いわゆる不動産屋さんです。
不動産業者のことを信頼して、
物件を購入する方も多いでしょうが、
不動産業者の関与の仕方で、
その責任が違ってきます。

この不動産業者の関与の仕方には、
仲介と売主の2種類あります。
不動産業者が売主の場合、
不動産業者が契約当事者ですから、
物件に欠陥があった場合には、
修理をする義務も負いますし、
欠陥がひどくて修理しても仕方がないような場合には、
売買契約を白紙に戻して、
代金を返還する義務も負います。
要するに、不動産業者が売主であれば、
トラブルの当事者になり、
法的責任が認められれば、
不動産業者自身が責任を負うこととなるのです。

ところが、不動産業者が仲介である場合、
不動産業者は、売主と買主を引き合わせただけであって、
物件に欠陥があった場合や
工事の不備などがあった場合などのときに、
責任を負うのは、売買の当事者である売主であって、
仲介業者である不動産業者は責任を負いません。
不動産業者は、
権利関係や物件の内容について、
説明する義務があるので、
それを怠ったということであれば、
損害賠償責任を負うこともあります。
しかし、先ほど説明したとおり、
売買のトラブルの当事者として、
最終的に責任を取るのは売主なのです。
だから、不動産業者が、
「大手だから」「信頼できそうだから」
「いい人そうだから」などという理由だけで、
契約するのは、危ないということとなります。

売主がどういう人か、
どういう業者かということを確認してから
取引した方がいざというときに安心です。





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2007年8月21日(火)

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