弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第289
弁護士に対する懲戒請求って何?

テレビで有名な弁護士が、
視聴者に向かって、
光市母子殺害事件の弁護団の弁護士に対して
懲戒請求をするよう呼びかけたところ、
同弁護団の弁護士に対して、
懲戒請求が数千件も殺到したそうです。

そこで、懲戒請求を受けた弁護士が、
テレビで懲戒請求を呼びかけた弁護士に対して、
懲戒請求を呼びかけたことが業務妨害に該当するとして、
損害賠償請求訴訟を起こしたそうです。

この懲戒請求を簡単に説明すると、
弁護士が、違法な行為、
弁護士会のルールに違反した行為、
弁護士としてふさわしくない行為などをしたときに、
弁護士会が弁護士に罰を与えます。

弁護士会に対して、弁護士がこういう悪いことをしたので
罰を与えてくれというのが懲戒請求ということとなります。
この懲戒請求は、
弁護士から被害を受けたいわゆる被害者でなくても、
できるんです。

おそらく、弁護士が公的な存在なので、
幅広く懲戒請求を可能にして
その行為を正すことを可能にしているのだと思われます。
そこで、懲戒請求は、
誰でもできるのですが、
もちろん、罰を与えて欲しいと請求するのですから、
法律に違反した、弁護士会のルールに違反した、
弁護士としてふさわしくない行為をしたなどについて、
具体的に主張する必要があります。

弁護士が預ったお金を返さないなどということであれば、
懲戒の理由として、
主張しやすいと思いますが、
今回のような裁判のやり方については、
懲戒請求をするのは一般の人ではなかなか難しいと思います。
根拠が薄い懲戒請求をすると、
逆に損害賠償請求をされる可能性もあります。
だから、もし、懲戒請求をするのであれば、
弁護士などに相談してから行なった方がよいと思います。

今回のケースについては、
弁護団の活動についても
裁判記録を読んでいないのでわかりませんし、
弁護士がテレビ番組で、
一般の視聴者に対しどう呼びかけたのかもわかりませんので、
どちらが正しいのかは、
僕には判断できません。





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2007年9月13日(木)

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