弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第290
仲介手数料の他に広告料を取られた

不動産屋さん
(正式には宅地建物取引業者と言います)
の仲介手数料は、法律で決まっています。
売買の場合は、
売買の当事者の一方から3%+6万円(消費税別)
(売買代金が400万円以上のケースです)
もらうことができ、
売買当事者の両方からこの金額をもらうことが可能です。

賃貸の場合は、
賃貸借契約の当事者双方からもらう金額の合計が
1ヶ月分(消費税別)と決められています。
だから、賃貸の仲介の場合、
不動産屋さんは、
借主から1か月分の賃料に相当する仲介手数料をもらうと、
貸主からは、仲介手数料はもらえないこととなります。

しかし、これには例外があって、
「依頼者の依頼によって行う広告の料金に
相当する額については、この限りでない。」
と広告料については、
仲介手数料の他に受領することができるのです。
そこで、賃貸の仲介をしている不動産さんは、
通常、借主から1か月分の仲介手数料をもらう他に、
貸主からも広告料として
1か月分をもらっているケースが多いのです。
しかし、広告料という名前であれば、
いくら取ってもよいというわけではありません。

まず、依頼者の依頼によって広告をした場合です。
広告をしてない場合はもちろんのこと、
依頼者の承諾を得ずに
勝手に広告をした場合には広告料はもらえません。
また、もらえる広告料は、
広告の料金に見合う額に限られています。
賃料の1か月分が
広告料金に見合う額かどうかわかりません。

したがって、広告料という名目であれば、
不動産屋さんが、借主から仲介手数料として
1か月分をもらった他に貸主からも
1か月分をもらっていいとは限りません。 
過去の裁判で裁判所は、
貸主が不動産屋さんに広告料の返還を求めたケースで、
「不動産屋さんのした広告は、
貸主の依頼に基づくものではないことから、
不動産屋さんは貸主の支払った広告料を返さなければならない」
と判断しています。

不動産屋さんからすると、
売買の仲介に比べて、
賃貸は報酬金額が少ないということから、
広告料名目で貸主からも
実質的に報酬をもらっているのでしょうが、
ケースによっては、法律違反となります。





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2007年9月18日(火)

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