弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第293
支払いを確実にするには

お金を貸したときなど、
支払いを確実にするには、
担保を取ったり、
保証人を立てさせたりするなどの方法があります。

マンションを貸すときには、
通常、借主に、敷金を預り、連帯保証人を立てさせます。
敷金は担保ですし、連帯保証人は、
もちろん保証人です。
マンションを貸すときには、
担保も保証人も取っているわけです。

しかし、お金を貸すとき、
商品を掛で売るときには、
なかなか担保を取ったり、
保証人を立てさせたりすることは少ないようです。
貸したお金が返ってこない、
あるいは、売掛金が支払われない
というトラブルの状況になってからでは、
なかなか担保や保証人を付けてはくれません。

したがって、貸したお金を返してもらう、
売掛金を払ってもらうには、判決を取って、
相手方の財産を差し押さえるしかありません。
しかし、裁判を起こした途端に、
前回説明したように、財産を処分してしまったり、
財産の名義を変更してしまったりする人がいます。
こうなると、回収ができなくなったりする可能性もあるし、
回収できるとしても、
余計な裁判をしたり、時間も費用もかかってしまいます。
これを未然に防ぐ手段としては、
「仮差押」という方法があります。

本来、相手の財産を差し押さえるには、
判決を取る必要があるのですが、裁判中に、
財産を処分されてしまうと
判決を取っても手遅れになってしまうおそれがあるので、
それを防ぐために、「仮差押」が認められています。
仮差押は、判決前に判決と同様の効力を認めることとなるので、

(1)相手の書いた契約書など証拠が十分あって
  勝つ見込みの高いこと

(2)仮差押する財産以外に財産が見当たらないこと

(3)請求金額の2割から3割の金額を法務局に供託すること

が必要です。
普通は、訴訟のための弁護士費用の他に
仮差押のための弁護士費用もかかります。
仮差押は、土地や建物あるいは売掛金、
場合によっては保険や給料などがあるけれども、
支払いをしないという相手方には有効です。





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2007年9月27日(木)

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