弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第295回
定期借家契約のメリット・デメリット

定期借家契約(定期建物賃貸借契約)というのは、
事務所やマンションを貸す(あるいは借りる)際に、
賃貸借の期間を定めて、
期間が満了したときには更新しないと明示してある
賃貸借契約のことです。

これに対し、
通常の事務所やマンションを貸す
(あるいは借りる)契約は、
ただの借家契約(建物賃貸借契約)
あるいは普通借家契約(普通建物賃貸借契約)
などと呼ばれています。

普通の借家契約でも、
契約期間が定められていて、
一般の人は、更新をしなければ、
継続して住めないと考えていますから、
普通借家契約でも定期借家契約でも
同じと考えている人も多いようです。
あるいは、定期借家契約でも、
再契約が認められており、
再契約をすれば継続して住むことができるので、
定期借家契約でも、
普通借家契約と同じと考えているようです。

しかし、定期借家契約と通常の借家契約では、
法律上は、決定的に違います。
通常の借家契約では、
契約期間が満了したとしても、
借主が継続して使用したいと考えた場合、
よほどのことがない限り、
貸主から契約を終了することはできません。
(借主が賃料を支払わないなどのときは
もちろん契約を解除して終了することはできます。)

これに対し、定期借家契約では、
契約期間が満了したら、
基本的に借主は出て行かなければなりません。
借主が、例外的に、継続して使用できるのは、
貸主が再契約に応じたときだけです。
だから、貸主にとっては、
立ち退きなどで揉めずに済むので
安心して貸すことができる契約と言えるでしょう。

他方、借主にとって定期借家契約は、
例えば2年契約で借りたとすれば、
2年後また引越先の選定
及び引越の作業をしなければならず、
時間労力をかけることとなります。
また、費用的にも仲介業者の手数料、
権利金、敷金、保証金などを用意する必要があります。

だから、借主は、
定期借家契約を結ぶときには、
そういうリスクがあることを
十分認識して契約する必要があります。





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2007年10月4日(木)

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