弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第297回
会社を辞めたのに弁護士になれない

報道によれば、大学で、法律を学ばなかった人
(未履修者と言われています)の司法試験合格率は、
約32%だったそうです。

それで、新司法試験は多様な人材を弁護士、
裁判官、検察官にしようとすることが目的なのに、
達成できていないなどと批判されているようです。
しかし、大学で法律を学んだ人でも、
約46%の合格率ということですから、
仕方がないと思いますが、いかがでしょうか。

司法試験は、新しくしたとしても試験には変わりありません。
大学で2年から4年多く学んで、
深く法律問題について、考えたことが多い方が、
合格する率も高くて当然のような気がしますが、
違うのでしょうか。

合格率が同じか、
未履修者の方が上だとしたら、
法学部出身者は、
大学で何も勉強をしていないのと同じこととなります。
それはそれで、困ったことだと思います。
どうしても、合格率を平等にしたいのであれば、
試験科目に、社会人経験者が有利となるような、
法律以外のビジネススキルを問うような科目を作る
ということをするしかないのではないでしょうか。

また、当初言われていた受験者の7割合格というのも、
約40%となったようです。
もちろん、受験者が当初の見込みより多くなったためです。
どんなレベルの受験生でも7割は合格させるとしたら、
あまり試験をする意味がなくなってしまいます。

ただ、あまり合格率が低いと
法科大学院の授業料と通学期間の生活費
(会社をやめる場合はそのときもらっていた給与)
というコストを支払ってまで、
受験する人がいなくなってしまうおそれがあります。
特に、今は、司法試験に受かっても、
就職先が見つからないという人も出て来ています。
こうなってくると、
僕が前から懸念しているとおり、
試験のための費用も負担できて、
就職先も確保できる
法曹関係者の2世の割合が多くなってくるのではないでしょうか。

そういう意味では、
お金持ちの子弟も有利だと思います。
多用な人材を育成するためのロースクール導入が世襲を招いたら、
何のための改革かわかりませんね。





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2007年10月11日(木)

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