弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第300回
医療費も支払わない人がいる

先日、
あの病院は医療費を支払わないでよいという噂が流れて、
患者がみな医療費を支払わないで
困っている病院のニュースがありました。
豊かになったはずの日本人のモラルは
一体どうなってしまったのでしょうか?

学校の給食費に始まり、保育園の保育料、
次は、医療費の未払いです。
医療費の未払いも増えているようです。

自分あるいは家族が、体調が悪くて、
しかも手持ちのお金がなくても、
きちんと治療をし、
料金の支払いは後でいいと言ってくれた病院に
感謝の気持ちはないのでしょうか? 

医療費の未払と言っても、
医療費には健康保険の適用がありますから、
通常、多くても数万円です。
まともに働いている人であれば、
そのときはなくても、
次の月に収入があれば払える額だと思うのです。
出産費用は、数十万円と比較的医療費の中では高額になりますが、
実は、出産費用は、
健康保険組合から出産一時金が出るのです。

だから、出産の際に手持ちがなくても、
後から、健康保険組合から支払われた出産一時金で、
病院への支払いは可能なのです。
しかし、この出産一時金は
出産費用の支払のために渡されたにもかかわらず、
自分のために使ってしまう人がいるのです。
全くあきれてしまう話しです。

医療費が支払われないのであれば、
当然、病院は、裁判所の手続により、
回収を図るということとなります。
しかし、病院では、
患者さんが医療費を払わないということを想定していないので、
いざ、裁判所で法的手続きを取ろうと思っても
なかなか、思うように行かない場合もあります。

また、医療費は少額の請求なので、
コストの面から、
弁護士に依頼せずに、
病院の職員で、法的手続を進める必要があります。
だから、未払医療費の回収は、
結構大変です。

あまりにも医療費の未払いがひどくなってしまうと、
お金を事前に払わないと
治療を受けられないということになってしまうかもしれません。 





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2007年10月23日(火)

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