弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第301回
生前、家をもらった兄弟がいる

みなさん、相続が発生したときに、
子供は平等に分けるということは、
ご存知だと思います。
では、お父さんが残した遺産が6000万円で、
3人兄弟ABCがいたときに、
Aだけ、お父さんの生前に
3000万円相当の土地をもらっていたとしたら
どうなるでしょうか?

遺産を3人兄弟で平等に分けるとすれば、
1人2000万円ずつ分けるということになります。
他方、Aがお父さんから生前もらった3000万円も含めて
相続を考えるということになれば、
9000万円をABC3人で平等に分けるということになりますから、
1人3000万円ずつ分けるということとなり、
Aは今回の相続では、
全く遺産をもらえないということになります。

法律(民法)では、
今回のケースのように、
ある相続人が生前に、
贈与を受けていたような場合を「特別受益」と言って、
遺産分割のときには、
特別受益分も遺産に含めて、
1人あたりの相続分を計算することとなります。

したがって、
今回のケースでは、
生前贈与分の3000万円も
遺産に含めて計算することとなります。
したがって、遺産が9000万円となり、
1人3000万円を相続することとなり、
Aは、今回の遺産からは
全くもらえないということとなります。

Aは生きているときにもらったものだから、
相続とは関係ないとは言えないのです。
ただ、Aが受けた生前贈与を相続から外す方法は、
お父さんが生きている間であれば、ありました。
特別受益を遺産の中に入れて計算することを
「持ち戻し」と言います。
Aが、お父さんが生きている間に、
お父さんからAに対する生前贈与については
持ち戻しを免除するという一筆をもらっておけば、
持ち戻しはされません。
即ち、遺産分割の際に、
遺産の中に入れずに計算してよいのです。





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2007年10月25日(木)

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