弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第306回
未上場株式を持つ意味

少し前に、未公開株式について、
今度上場すると持ちかけ、
高い金額で購入させるという詐欺事件がありました。
上場予定の株式を取得すれば儲かるという知識で、
これらの詐欺にかかってしまったのかもしれません。
上場直前の株式が手に入るなどといううまい話が、
いきなり自分に舞い込んでくるのは
怪しいと思わなければなりません。

今日は、上場予定の未上場の株式の話ではありません。
未上場の株式を持つことによって、
どんな権利を持つのか、
どんな意味があるかという話です。

もともと株式会社というのは、
規模を大きくして将来上場させるための仕組みでした。
ところが、日本の株式会社のほとんどは、
上場しておらず、上場の予定もありません。
上場している会社の株式は、
市場で値段が付いて、
値段を気にしなければ
好きなときに売却することができます。
しかし、上場していない会社の株式は、
値段も付いていませんし、
買い手を探すことも難しいです。
だから、安く買って、
高く売却するという株式投資の基本が通用しないのです。

とすると、
未上場株式を持つことに
意味があるのかということになってきます。
株式は、みなさんご存知のとおり、
会社の所有権(支配権)を多数に分割したものです。
自分で事業をしていれば、
当然、経営に関する決定権を持ち、
事業から得られた利益や
財産を自分のものとする権利を持っています。

そこで、
株主の会社に対する権利には、
会社を支配する権利、即ち、
経営権(議決権)と
会社の利益と財産を受け取る権利
(配当請求権と残余財産分配請求権)があります。

この残余財産分配請求権というのは、
会社が解散して
支払いを終えて残った財産の分配を受ける権利のことです。
通常会社は解散して、
財産を株主で分けるということはありませんから、
残余財産分配請求権というのは、
あまり行使する機会はありません。

この株主の権利については、
次回に続けて説明をします。





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2007年11月13日(火)

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