弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第316回
年金問題再び

参議院選挙前に問題になった年金払込者不明問題について、
最近になって払込者が不明な年金について、
特定できないということを、政府が認めました。

これが、与党の選挙時の公約だったのかどうか、
即ち、公約違反だったかどうかということが、
国会で問題になっているようです。

当時から年金払込者を全て特定するのは
無理だと言われていたのに、
できるかのような発言をして、
選挙を戦ったことは、問題だったと思います
(僕も、当時、この欄で、特定できないのだから、
特定できるという幻想を前提に対策を考えるのは無駄だ
という話をしました)。
でも、それについては、
いつも言っているとおり、
国民を誤解させたことの責任は
選挙で取ってもらうというのが政治的責任です。

また、一度、
国民を誤解させるような発言をした政治家の言うことを、
次回の選挙でも信用するかどうかということですね。
さて、問題なのは、
特定不明の払込みがあった年金問題を
どう解決するのかということです。

それについては、民主党も、
解決案を示していないのではないでしょうか。
(民主党や他の野党が解決案を示しているのであれば、
誰かその内容を教えてください。)
以前もお話しましたが、
基となるデータが誤っているので、
誰が損をしているのかもわからないことから、
年金を払ったのに
損をしている人を救済することもできないのです。

この解決不能の問題を生じさせた責任は、
当時の社会保険庁の長官と職員など関係者などにあるので、
その人たちが責任を取るべきなのでしょうが、
法律上、
その人たちに責任を取らせることはなかなか難しそうです。

だからと言って、過去のことで、
今さら特定できないんだから、
仕方がないじゃないかと開き直られても、
国民としては納得できないところです。
与党も野党も、
この問題について誰にどう責任を取らせるのか、
真剣に考えてもらいたいところです。





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2007年12月18日(火)

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