弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第329回
店長は管理職じゃないの?

HiQを読んでいるみなさんは、
女性も含めてサラリーマン
(給料をもらっている人という意味です)の方が多いようです。
みなさんは、
「管理職」というとどういう人のことだと思いますか?

一般的には、
係長以上の役職がついた人が
「管理職」だと考えられているのではないでしょうか?
ところが、みなさんもニュースなどでご存知のとおり、
マクドナルドの店長は
「管理職」ではないという判決が出たのです。
この裁判は、会社が従業員である店長に対して、
労働基準法に基づいて、
時間外手当(いわゆる「残業代」)を支払わなくてもよいか
という点が争われました。

労働基準法上「管理職」には残業代を支払わなくてもよい
ということとなっています。
店長が管理職であれば、
残業代の支払いは不要です。
しかし、店長が管理職でなければ、
残業代の支払いが必要となります。

そこで、裁判では、
店長が管理職かどうかという点が争点になったのです。
店長は、その店で、
バイトの採用からシフトや時給額まで決めていることが多く、
お店の運営についての決定権者なのだから、
一般常識からすれば、「管理職」です。
しかし、裁判所は、
働いたらその分の給料を支払うのが原則で、
いくら働いても残業代が出ない「管理職」を例外的に考えています。
そこで、労働基準法上の「管理職」を
他の従業員を管理監督する立場にあるだけでなく、
労働時間に縛られず、
経営者と一体的にあるような立場にある者と、
一般常識でいう「管理職」よりも限定して考えています。

だから、
今回のマクドナルドの店長は
「管理職」ではないとされたようです。
では、全ての店長が管理職ではなく、
残業代の請求ができるかというと、
そうとも限らず、
その店長の会社での役割や時間的拘束、権限、報酬などの事情を
総合的に考慮して決めることとなります。





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2008年2月5日(火)

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