弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第347回
読みたい人より書きたい人

みなさん、ご存知ですか?
書籍の売上は、1996年をピークに減少しているんです。

それにしたがって、
『声に出して読みたい日本語』など
みなさんがご存知の本を出版していた
比較的有名な出版社である草思社が民事再生の申立をし、
広い意味での倒産をしました。

これに対して、本を書きたい人は増えているようです。
携帯小説しかり。
自費出版しかり。です。

携帯小説は、あまり書くのに費用もかからないようです。
しかし、自費出版は、その名のとおり、
出版費用を自分で持つということですから、費用がかかります。
何部印刷するのかわかりませんが、
その印刷費用、本屋に並ぶ場合は、
その流通費用、新聞に広告が掲載される場合は、
その広告費用を著者が負担することとなります。

出版不況の折、出版社にとっては、
著者が出版にかかる実費を負担してくれて、
一定の利益も支払ってくれるのですから、
部数は出ないので大きな利益は期待できませんが、
赤字になる心配はなく、
安定した収入を確保することができるメリットがあります。

そして、自分で費用を支払っても
自分の原稿を本にして書店に並べたいという人が多いことから、
需要と供給が一致して、自費出版はかなり盛況のようでした。

しかし、不誠実な業者も多いようで、
顧客からの費用を他の資金繰りになどに当ててしまい、
引いては、それでも、資金が不足して、倒産してしまいました。
2006年3月には碧天社が、
2007年12月には新風社が、倒産しました。

自費出版を考えている人は、
出版社が倒産しないか注意してください。
また、どこの本屋にどれくらいの期間並べられるかも
注意する必要があります。

さて、以前このコラムで書いていた
「訴えられたらどうする!!」が税務経理協会から出版されました。
幸いなことに自費出版ではありません(笑)。
この本については、次回ご紹介します。





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2008年4月8日(火)

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