弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第372回
年功序列には戻れない

成果主義によって、
会社が駄目になったというような本がかなりヒットし、
成果主義は駄目で、
年功序列賃金がよいというような論調が
かなり増えてきているようです。

しかし、仮に年功序列賃金制度が
理想的な望ましい賃金の支払方法であっても、
年功序列賃金制度は、
おそらく高度成長期の右肩上がり経済の下で成り立った制度であり、
現在の成熟した経済環境の下では、
維持するのは無理なのではないでしょうか。

年功序列賃金制度というのは、
勤務年数が増えるに従って給料の支払額も増えるというものです。 
ということは、基本的に、
給料の元になるお金、
即ち売上が増えないと維持できない制度です。

もちろん、同じ売上でも、
必ず最高額の従業員が辞めて行って、
給料の総支払額が変わらないということであれば、
同じ売上でも維持することが可能です。

高度経済成長期には、
売上が増えて行って会社の規模も右肩上がりに、
大きくなって行ったために、
給料の高い年長の従業員の数が少なく、
給料の安い若い従業員の数が多いという従業員の構成も
ピラミッド型になっていたということも、
年功序列賃金を維持できた原因だと思います。

複数の若い従業員で、
1人の年長者の給料を支えるということになるので、
年功序列賃金を維持しやすいわけです。

しかし、従業員の構成が年長者の方が多く、
若い従業員が少なくなれば、
1人の若い従業員で、
複数の年長者の高額の給料を支えなければならなくなりますから、
それは難しくなります。

このようなことから、成果主義は駄目で、
年功序列賃金がいいと言っても、
年功序列賃金に戻ってそれを維持するのは、
相当難しいと思うのです。





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2008年7月8日(火)

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