弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第374回
不倫は誘われても加害者です

不倫疑惑でニュース番組を降板した女性タレントが
メインキャスターとして復帰した途端に、
再度、有名野球選手と
不倫疑惑をかけられる騒動を起こしたことが、
ワイドショーを賑わせているようです。

世の中、不倫をしている人は多いのか、
よく相談を受けたり、事件を依頼されたりします。

不倫のケースで、多いのは、
やはり既婚男性が独身女性を誘って、
不倫関係になるというものです。

これに対して、既婚男性の妻が、
相手の女性に対し、慰謝料を請求するという訴訟が多いです。
訴えられた女性からすると、
男性から口説かれて付き合うようになったのだから、
悪いのは男性なのに、
なぜ、自分だけが訴えられるのかということになります。

訴えられた女性の言うことには、一理ありますが、
裁判で、これを主張しても、通りません。

現在の多くの裁判所の考えでは、
妻には、夫と平穏な家庭生活(夫婦生活)を営む権利があり、
妻にとっては、夫の誘いに乗った女性は、
夫といっしょに妻の平穏な家庭生活を営む権利を侵害した
加害者であると判断されてしまうからです。

法律上、この妻の権利を侵害した行為を「不法行為」と呼びます。
妻は、夫と女性の2人に対し損害賠償請求をすることができますが、
どちらか1人に対してのみ損害賠償請求することも可能です。
そこで、妻が、生活のことがあるためか、
夫とは離婚せず、
女性に対してのみ損害賠償請求をするケースも意外に多いです。
「女性の敵は女性」なのでしょうか?
本当は、夫が悪いのだと思いますが。

独身女性のみなさん、
既婚者の男性の甘い言葉に誘われて過ちを犯したときに、
自分が被害者だと思っていたら、
加害者だとして訴えられてしまうかもしれません。
お気をつけてください。





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2008年7月15日(火)

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