弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第375回
養子が節税になる?

みなさん、養子縁組というと
子供のない人が、子供が欲しくてするものだ
と思っている人が多いと思います。

しかし、養子縁組が節税になるときもあります。
それは相続税です。
相続税の計算上、
5,000万+(相続人の数×1,000万円)
の控除を受けることができます。

例えば、Aさんが亡くなって相続人が子供B,Cで、
遺産が1億円だったとします。
このときに、1億円から
(5,000万円+(2×1,000万円))=7,000万円を引いた
3,000万円に相続税がかかるのです。

即ち、相続人が多ければ多いほど控除金額が多くなり
支払う相続税は減るということになります。

養子は、親と血のつながりはありませんが、
親と血のつながりのある実子と
同じように相続することができます。
上のケースで、AがDと養子縁組していれば、
相続人は実子B,Cと養子Dの3人となります。

すると相続税の控除額は、
5,000万円+(3×1,000万円)=8,000万円となります。

よって、1億円-8,000万円=2,000万円が相続税の対象となり、
養子縁組をした結果、
相続税の対象となる金額が3,000万円から2,000万円となり、
相続税額も400万円から250万円となり、
支払う相続税が減るということになるのです。

それなら、上のケースで3人と養子縁組をしたら、
相続人が5人となり、
控除額が5000万円+(5×1000万円)=1億円となり、
相続税を払わなくてもよくなるのではないか
と考える人がいるかもしれません。
その点は、国も対策を打っています。

実子が他にいる場合は養子が2人いても3人いても、
1人分しか相続税の控除の対象としてくれません。
上のケースで、実子2人の他に養子が2人いても3人いても、
控除額は5,000万円×(3×1,000万円)=8,000万円で
変わらないのです。

養子縁組には、このようなメリットもあるという話ですが、
相続税が減るのは相続全体の話で、
養子がいれば他の実子が相続する金額が減る可能性もあるし、
養子縁組自体にデメリットもあります。

相続税については、節税の必要があるのか
税理士に相談してみないとわからない部分もありますから、
節税のために養子縁組にすぐ飛びつくのではなく、
税理士や弁護士に相談してから
養子縁組をすることをお勧めします。





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2008年7月17日(木)

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