弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第377回
今の大学生には基礎学力が欠ける?

毎日新聞の記事によると、
私立大学教員の半数以上が
学生の基礎学力が不足していると感じていることが、

私立大学情報教育協会の調査で分かった。
そうです。

そして、
協会は
教員からは
小中学校レベルの学力さえない学生もいるとの話も聞いている。
こうしたレベルの学生については、
大学の補習で対応できる状況にはなく、
改善のために教育界が組織を挙げて取り組まねばならない問題だ

と話している。
そうです。

みなさん、この記事をご覧になって、
どう思いますか?
記事のとおり、
最近の大学生は基礎学力がなくて、
小中学校レベルの学力がないのかと、
いわゆる「今の若者は」論と同じように、
「今の大学生は」と思いますか?

みなさんのように、一般の人が、
そう思うのはかまわないのですが、
当事者である私立大学教員や私立大学の協会は、
そんなことを言っていていいのかと思います。

まず、基礎学力が不足して、
大学の補修で対応できないような学生を大学に入学させたのは、
大学自身です。

入試をするのですから、
大学に入学させる時点で、
学生の基礎学力が不足していることはわかっているはずです。

わかっていて、大学に合格させていながら、
今の大学生は基礎学力に欠けているとは、
何という言い草でしょうか。

本来、少子化がわかっていたのだから、
大学の数は減らすべきでした。
しかし、それにもかかわらず、
大学を増やしてしまったため、
各大学は、学生の数を確保して、
大学を維持するために、
大学生として基礎学力が不足する者でも、
入学を希望したら合格させたのです。

だから、
大学生に基礎学力に欠ける人がいても、
当然なのです。

大学は、そんな調査をして、
発表なんかするのではなく、
基礎学力がない学生を、
どうやって大学生らしくさせるか考えて
実行してもらいたいものです。
(僕は、そういう努力をしている大学の先生も知っています。)

というよりも、
そういうビジョンがないにもかかわらず、
大学を維持するためだけに、
基礎学力のない学生を合格させることは、
止めて欲しいと思うのは、僕だけではないはずです。
大学には、補助金という税金が投入されているからです。





←前回記事へ

2008年7月24日(木)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ