弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第415回
回収があって初めて成功

ある銀行で、不良債権が多い原因の1つに、
融資担当の職員が、融資をすると給料に歩合給が付くので、
審査を甘くして、融資をしてしまった案件が多かった
ということが挙げられていました。

一般の会社でも、
商品を売る営業担当者に契約が成立した場合に
給料に歩合給を加算するケースは多いと思います。
歩合給は、会社の売上げに貢献した分を給料に加算することから、
一定の合理性がある制度だと思います。

しかし、上の銀行の例でもわかるとおり、
営業担当者は、成績を上げたいことから、
商品を売ること(銀行では融資すること)が優先になってしまい、
売った後の代金の回収(銀行では融資の回収)がどうなるかは
二の次になりやすいです。

もともと、商品が売れたら、給料に歩合が付くというのは、
普通は、売上げが多くなれば、
会社の利益も多くなるからです。

商品を現金で販売するということであれば、
売れただけ会社にはお金が入ってきますから問題はありません。

しかし、銀行の融資や商品の売掛代金は、
その後、返済や代金の支払いを受けなければ、
会社に利益は生じません。

返済や代金の支払いを受けられない場合は、
利益が生じないどころか、
融資の例で言えば融資したお金の分が
会社の損害となってしまうし、
商品の販売で言えば仕入代金、
配送費用などが全て会社の損害となってしまうのです。

だから、融資しただけで、
あるいは、商品が売れただけで、歩合給を付けてしまうのは、
営業担当者に取り敢えず契約さえ取れれば、
後は、どうなっても知らないという考えを起こさせやすいのです。

歩合給を付ける場合には、
回収のことも考えさせるような付け方をした方がよいと思います。


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2008年12月11日(木)

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