弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第414回
株券が無効になる?

これまで、株と言えば、株券のことを指していました。
しかし、この株券が無くなります。

みなさん、ご存知だと思いますが、
来年の1月5日から、上場している会社の株式は、
電子化されることになったからです。

上場会社の株式は、ものすごい数が発行されますから、
一々、売買の度に、その株券の名義を書き換えたり、
引き渡したりするのは、かなり労力がかかります。

そこで、上場企業の株式は、株券を発行しないで、
電子化にしようということになったのです。

株券は、紙でできていて、偽造などもされやすいため、
それを防ぐ意味もあるようです。

株券が電子化されるとすると、
これまでの株券はどうなるかということですが、
これまでの株券は、何と無効になります。

似たような話で、
以前、不動産の権利証(登記済証)は、
登記識別情報に変わりましたが、
それまでに発行された権利証は無効にはなりませんでした。

新たに登記するときから、
登記識別情報に変わることになっています。

株券の場合は、不動産の権利証とは違って、
いきなり株券が無効になります。

ただ、株券が無効になったからと言って、
株主でなくなるわけではありません。
株券の名義が持ち主の名義であれば、
その名義で、株主であることが登録されることになります。

しかし、株券を貸したお金の担保にとっている人は、
注意が必要です。
これまでは、株券を預かっていれば、
株の持ち主は、株を処分することはできませんでしたが、
1月5日以降は、株券が無効となり、
名義人は、電子情報のみで売却が可能となってしまうからです。

だから、1月5日以降は、
担保として株券を預かっているにもかかわらず、
株券が売却されてしまったということが考えられるからです。

上場企業の株券を担保に取ってる人は、
株の持ち主と一緒に証券会社に行って、
手続をしておくことをお勧めします。


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2008年12月9日(火)

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