弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第427回
倒産・クビ切りは経営者もつらい

サブプライム問題に端を発して、世界全体で不況となり、
大手金融機関から、不動産会社や建設会社まで、
上場企業が破産や民事再生といった
倒産手続を取るケースが増えているのは、
みなさん、新聞やテレビの報道でご存知のとおりです。

上場企業がつぶれてしまうのですから、
マスコミで報道されませんが、中小企業はもっと大変です。

中小企業は、社長のオーナー会社であることが多く、
社長は、自宅を担保に、
銀行から会社のための融資を受けていることがほとんどです。

資金繰りが苦しくなると、自分の保険はもちろん、
家族の保険まで解約して、会社をもたせようとします。

知人や親類、取引先などあらゆる資金繰りの方法が尽きたときに、
弁護士に相談に来るというのが通例です。
そのときには、弁護士費用もない
というケースも珍しくありません。
その時点では、会社は破産しか選択の余地がないことが多いです。

そのときに、経営者は何を心配するかというと、
従業員に最後の給料を払えないかということです。

破産となれば、従業員をクビにするほかありません。
しかし、せめて、最後の給料だけでも
きちんと支払ってあげたいと思う経営者が多いのです。

これは、給料の支払い原資があるか、
また破産の申立時期によって、うまくできたり、
できなかったりします。

経営者がここまで考えて、破産の申し立てをしても、
最後の給料が支払われなかったケースでは、
当たり前ですが、なかなか従業員の方には理解されません。

もちろん、支払いができない取引先にも理解はされません。
取引先や従業員に計画倒産とか、
私財隠しをしてるんじゃないかと疑われます。

会社を倒産させる経営者はつらいのです。


←前回記事へ

2009年1月27日(火)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ