弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第428回
ライバル会社に就職してよいか!

会社の経営者からは、
従業員がライバル企業に就職するのを止められないか?
従業員の方からは、
ライバル企業に就職してよいか?
という相談を受けることは多いです。

サービス業などでは、
その担当者にお客が付いているので、
ライバル企業に担当者が移ってしまうと、
お客もライバル企業に取られてしまうということがあるからです。

したがって、経営者からすると、
従業員をライバル企業に就職させたくないということになります。

これに対し、従業員としては、
それまで培った信用や経験、知識といったものを、
次の職場でも生かしたいということがありますから、
当然、転職先は、同じ業界内を希望します。

そこで、従業員がライバル企業に就職する場合、
トラブルとなる場合が多いのです。

よく裁判にもなります。

判例の考え方では、基本的に、
従業員がライバル企業に就職することを止めることはできません。
従業員には職業選択の自由が憲法上保障されているからです。

ただし、従業員と会社が、辞めた後でも、
一定期間、一定の地域で、
一定の職業に就くことを禁止する合意書を交わしてあるときには、
ライバル企業へ就職すること自体を止めることができます。

しかし、このような合意書も
いつも法律上有効と認められるわけではありません。

このように、
従業員がライバル企業に就職することを止めるのは、
なかなか難しいのですが、
従業員が、在職中に会社の情報を持ち出そうとしたり、
顧客に会社について嘘の情報を流して
営業をかけたりしているような場合は、
会社はその従業員に対して、
損害賠償請求をすることができます。


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2009年1月29日(木)

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