弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第437回
売掛金はお金を貸すのと同じ

hiQをご覧になっている方の中には、
実際にビジネスをされている方、
これからビジネスを始めようとしている方が
いらっしゃると思います。

ビジネスの基本は、
商品やサービスを提供して、代金をもらうことです。

前払いや代金と引き換えに
商品やサービスを提供するのであれば、
代金の未払いの問題は生じません。

代金が払われなければ、
商品やサービスの提供をしなければよいからです。

しかし、後払いの場合は、
既に商品やサービスを提供してしまっています。
商品やサービスの提供には、仕入、配送、
それにかかわる従業員の給料などの費用がかかります。

だから、代金が払われなければ、
提供した商品やサービス分が損になります。

即ち、代金の後払い(売掛金)は、
商品やサービス提供にかかるお金を貸しているのと同じなのです。

貸したお金や商品を売った代金は
払われて当たり前と思っていると、
不払いにあって足元をすくわれることとなります。

ビジネスをこれから始める方や今ビジネスをされている方は、
代金を後払いにするのであれば、
代金が払われない場合があることを前提に、
ビジネスを考える必要があります。

その対策としては、
(1)前払いか代金と引換にする。
(2)1部前金とする。
(3)1ヶ月の取引金額を少なくする。
(4)支払が確実な企業としか取引しない。
(5)決算内容を確認してから取引をする。
(6)確実な保証人をつける。
(7)不動産や売掛金などを担保に取る。
(8)一取引の粗利益率を高くして、
一定率の貸し倒れが生じても影響がないようにする。

まあ、そうは言っても、
なかなか物が売れない時代では、
これらの対策がどれも取れない場合も多いと思います。

その場合、代金を後払いにすると、
常に不払いのリスクを負っているということを
忘れないことが大切です。


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2009年3月3日(火)

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