弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第444回
薬のネット販売

先週は、突然お休みしてしまいすみませんでした。

先週は、あまりにも電話、メール、裁判、打ち合わせ、
書類作成と言った仕事が立て込んでいて、
原稿を編集部に送っていなかったということを
HiQで休載の表示を見るまで気づきませんでした。

さて、みなさんは、薬のネット販売を認めるべきか、
禁止するべきかという議論がなされていることを知っていますか?

楽天の三木谷社長や松井証券の松井社長は、
ネット販売を禁止するなと主張しています。

これに対して、厚生労働省側は、
ネット販売の禁止を主張していると言われています。

今の厚生労働省案は、薬を3段階に分類して、
一番安全性の高いと思われる薬は、
ネット販売を可能として、
その他リスクが高いと思われる薬は、
ネットでは販売できないこととするという案です。

議論は、
店舗でも、いちいち購入者に病状やアレルギーなどを質問したり、
説明書などの説明をしたりして売っていないから、
ネットで売っても同じで、
ネット販売の方が効能や副作用を読んでもらえる。

漢方薬などは実際上通販で売られているのが、
今後は通販で売れなくなってしまう。

ネットで販売されれば薬害が増える。
薬による被害のリスクは、店舗もネットも同じだ。

など多岐にわたります。

個人的には、ネットでは、名義貸しや成りすまし、
偽の薬の販売などが簡単にできるので、
ネット販売を認めるならば、
違法なネット販売の取り締まりに
力を入れる必要があると考えます。

取り締まりを強化したとしても、
ネット上の仮想店舗しか持たない販売者に対し、
十分な取り締まりができるのかという疑問もあります。

これに対し、薬のネット販売が一律に禁止ならば、
一般消費者も、ネットで売られている薬は危ないから
ネットで買うのは止めよう
ということになるのではないかと思われます。

薬のネット販売を認めるならば、
違法業者に十分対処でき、
責任を負わせられる方策を取る必要があると思います。


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2009年3月31日(火)

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