弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第456回
自宅を残す借金の整理法

世の中、借金の返済に困っている方は多いようで、
借金の整理の相談や依頼は、結構多いです。

借金の整理の相談で多いのが、
自宅を何とか残せないかというものです。

以前は、全債権者に平等に支払えないのであれば、
住宅ローンを借りている
金融機関だけ弁済することができなかったので、
借金の整理をする際は、
ほとんど自宅を残すことはできませんでした。

しかし、自宅を残すために、
住宅ローンは他の借金とは別に支払ってよいとする
いわゆる「住宅ローン再生」の制度ができ、
法律改正により、使いやすくもなったことから、
以前よりは、借金の整理をしても
自宅を残すことができるようになりました。

具体的には、住宅ローン再生では、
住宅ローンについては全額そのまま返して行くけれども、
他の借り入れについては、
法律に定める範囲で、
減額して支払うことができることとなります。

会社などの民事再生の場合、
債権者の過半数の同意が必要となりますが、
住宅ローン再生の場合、法律の要件を満たせば、
債権者の同意は必要ないというメリットがあります。

 住宅ローン再生の要件としては、
1 給与などの定期収入があること
2 自宅の抵当権は住宅ローンのもののみであること
3 住宅ローンを除く借金が5000万円以下であること 
4 住宅ローンを除く借金のうち
  法律の定めた金額以上を3年から5年で返済すること
 などがあります。

住宅ローン再生は、自宅も守れて、
債権者の同意も要らないと
メリットの大きい借金の整理方法ではありますが、
住宅ローンとは別に、減額してもらえるとは言え
借金の返済をしなければならないので、なかなか難しいです。

自宅の評価額から住宅ローンの額を引いた金額がプラスの場合、
そのプラスとなった金額以上の借金を
返済しなければならないので、
プラスの額が大きいときは、
住宅ローン再生が使えないことも多いです。


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2009年5月14日(木)

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