弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第471回
借金しないと弁護士になれない

みなさんの中で、
弁護士になる過程を知っている人は少ないと思います。

以前は、司法試験合格、司法修習2年(卒業試験有)、
弁護士登録という流れでした。

司法試験に合格するためには、
大学の教養課程の単位を取得しているか、
一般教養科目の試験に合格すればよいということで、
大学に行かなくても、弁護士になれました。

しかし、これからは、基本的に、大学卒業、
法科大学院(2年or3年)、司法試験合格、
司法修習1年(卒業試験有)、
弁護士登録ということになっています。

だから、弁護士になろうと思えば、大学を卒業し、
法科大学院を卒業しなければなりません。

当然、その間の授業料・生活費がかかります。
そして、その後の司法修習については、
現在、公務員として国から給料をもらっていますが、
今後は国からの貸与となります。

要するに、弁護士になるには、大学4年間、
法科大学院少なくとも2年、
司法修習1年の合計7年間働かずに
大学と大学院の授業料を支払い、
生活をするための資力が必要となります。

これを全て借入れで賄うとすれば、
相当多額の借入れとなってしまいます。

しかも、今、司法試験の合格者が以前は500とか600名だったのが、
今は2000名を超え、3000名にしようとしており、
弁護士になっても一部の人(と言ってもかなりの数)には
就職先がないという状況です。

こんな状況で、普通の人が
弁護士になることを希望するでしょうか?
僕は、今のような制度であれば、経済的な負担が重く、
弁護士にはなれなかったと思います。

今、政治家の世襲が問題となっていますが、
そのうち、比較的経済的に恵まれて、
就職先の心配もない弁護士の子供以外は
弁護士になることを希望しないという状況になってしまい、
弁護士の世襲が多く見られるようになるかもしれません。
そんな制度にしていいのかな?と思っています。

(以前は、司法試験が難しくて、
世襲させようにも子供が試験に受からない
という話をよく聞きましたが、
今は以前よりも何倍も合格しやすくなっており、
その面でも世襲がしやすくなっています。)


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2009年7月7日(火)

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