弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第475回
今度はFX詐欺

新聞報道によりますと、
FX取引(いわゆる外国為替証拠金取引)により
出資金を運用する投資会社の役員などが
金融商品取引法違反(無登録営業)で逮捕されました。

逮捕容疑は、無登録で、
投資ファンド事業を行ったという
金融商品取引法違反です。

しかし、新聞報道などを見ますと、利回りをうたって、
出資金を募っていたようですので、
この点では、出資法違反の可能性があると思います。

また、約20億円を集めたうち、
一部しか運用していなかったという報道もなされています。
自転車操業で、
出資金を集め配当をしていたような報道もあります。

この点からすると、運用するつもりがないのに、
運用しているように見せかけ
(あるいは、利益が出ていないのに
利益が出ていると嘘をついて)出資金を騙し取ったとして、
詐欺になる可能性もあります。

HiQの連載を始めてもうすぐ6年になりますが、
この間に、何度大型詐欺事件の報道がなされ、
このコラムで取り上げたでしょう。 

詐欺の手口は、極めてシンプルです。
高配当をうたって出資金を集める。
→集めた出資金の中から配当を支払う。

それだけです。

実際には、高配当をできるだけの利益は上げていませんから
(ほとんどは運用さえしていませんから)、
出資者が多くなればなるほど配当の支払いが多くなり、
かつ、自分たちは出資金から手数料や
報酬名目でかなりの金額抜いていますから、
配当ができなくなります。

配当ができなくなって、出資者が騒いだときには、
その仕組みが破綻して、
詐欺であることが発覚して、経営者が逮捕されます。

しかし、破綻したときには、
出資したお金は、残っておらず、
出資者にはお金は戻ってきません。

これまで取り上げた投資詐欺のほとんどは、
この流れをたどっています。

投資の対象が、変わっていくだけで、
手口はみんな同じです。
聡明なHiQの読者は騙されはしないと思いますが、
世の中、何で、何十億円、何百億円という多額のお金が
詐欺師の下に集まってしまうのでしょうか?

みなさん、高利回りをうたう投資話には気をつけましょう。


←前回記事へ

2009年7月21日(火)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ