弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第474回
マスコミによる地方のチェックは甘い

テレビで人気のある著名人知事が地方分権を言っているせいで、
地方分権が次の選挙の争点の1つになるかもしれません。

しかし、地方分権は、結局のところ、
国から地方公共団体に、
お金と権限をよこせということに尽きると思います。

これが本当に、日本のためになるのでしょうか?

現在、地方経済が苦境に立っているのは、
地方に財源がないからなのでしょうか?

地方の方が、利用率が低く、
費用対効果が合わない無駄な箱物や道路、
空港がたくさん作られている印象があります。

地方分権になり、地方がお金と権限を持ったら、
このような無駄な施設が
たくさん作られてしまうのではないかという
疑問を持っています。

また、選挙違反や汚職事件も、
地方の方が多いという印象があります。

地方公共団体には、市町村区と都道府県とがあり、
それぞれに行政と議会がありますが、
国の行政と国会とを合わせると、3重に行政と議会があるわけです。

これらを維持したまま、
地方分権という名の下に、地方にお金と権限を渡すというのは、
霞ヶ関の官僚でなくても、心配になります。

日本を良くするために地方分権が必要というのであれば、
地方の組織をスリム化した上で、
無駄遣いをチェックする仕組みを
合わせて作って欲しいものです。

市民が各自
自分の属する地方公共団体で何が行われているのか
チェックするのが望ましいのですが、
僕もそうですが、みなさんも
自分が住んでいる地域のお金の使い道を
細かくチェックしている人は少ないんじゃないでしょうか。

国の問題でも地方の問題でも、
マスコミで取り上げられれば問題点などが把握できるし、
是正もされますが、
マスコミに取り上げられなければ問題点もわかりません。

しかし、マスコミは、中央中心で、
地方の問題が取り上げられることは圧倒的に少ないです。

そうなると、地方分権で地方にお金と権限がある程度移転して、
無駄遣いや濫用の危険は増えるのに、
マスコミの監視が及ばないということになる可能性が強いわけです。

地方分権が話題となっていますが、
地方分権がなされた場合、
こういう問題があると思っています。


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2009年7月16日(木)

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