弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第477回
原状回復費を節約した上にお金が

未曾有の不況ということで、
経営の厳しい飲食店も多くなってきており、
閉店することになってしまう飲食店も多いことだと思います。

こうした飲食店の内装は、
オープンのときには、
結構お金をかけているものも多いと思います。

しかし、せっかくお金をかけた内装も、
閉店することになれば、
貸主との賃貸借契約により、
元の状態に戻さなければなりませんから、
ただのゴミになってしまいます。

今は、ゴミを捨てるのにもお金がかかりますから、
内装にお金をかけると、
捨てるのにも多くのお金がかかってしまいます。

この原状回復費を節約するにはどうしたらよいか
ということで考えられたのが、
造作譲渡、即ち、
内装を次の借主に買ってもらうということです。

こうすれば、原状回復費を負担しなければならない借主が、
原状回復費を負担しなくて済むばかりではなく、
内装を買ってもらうことにより、
多少のお金が入ってきます。

では、このような造作譲渡の需要はあるのか
ということになりますが、
飲食店を経営し、自分の店を持ちたい、
あるいは、独立したいなどと考えている人は多いものです。

しかし、独立するに当たり、
今後どれくらい儲かるかはわからないのですから、
初期にかかる費用はできるだけ抑えたいと考えます。

そこで、他人が行った内装をそのまま買えば、
中古品にはなりますが、
自分が新しくそれだけの工事をするよりも
費用が少なくて済みます。

だから、飲食店を閉店するときに、
内装をそのまま買いたいという需要は意外とあるのです。

そういう需要と供給を見越して、
仲介をする業者もあるようです。

うまく行けば、原状回復費を節約できて、
おまけに多少お金が入ってくることになります。

ただし、法的には、貸主が造作譲渡について
OKすることが必要です。

だから、買主を見つければ
それで解決というわけではありません。


←前回記事へ

2009年7月28日(火)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ