弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第478回
更新料を返さなければならない?

みなさん、マンションやアパートを貸すときは、
2年ごとに更新で、次の更新のときには
更新料を借主が支払うという契約にしている方が多いと思います。

新聞やテレビの報道で知っているかもしれませんが、
貸主が借主に更新料を
返還しなければならないとする判決が出ました。

この報道を見て、これからの借主は、
更新料は支払わなくてもよい、
あるいは、払った更新料を返して、と言ってくるかもしれません。

この更新料の返還を認めた判決の理由は、消費者契約法です。
消費者契約法は、消費者の責任を法律の規定に比べて重くして、
一方的に不利にしている契約上の規定を無効としています。

判決は、借主に更新料を支払わせるという契約が、
この規定に違反するというのです。

しかし、更新料の返還請求については、認められた判決は、
今のところ、新聞やテレビで報道されたもの1つだけであり、
他の判決では否定されています。

この判決も、今後、
控訴、上告と争われていくのではないかと思います。

最高裁判決で、
更新料の返還を認める判決が出たのであれば大変なことですが、
現時点では、更新料の返還を認めるのが
多くの判例というところまでは来ていません。

だから、マンションやアパートを貸している方は、
更新料の返還を認める判決について報道があったからと言っても、
更新料をもらってよいし、
またもらった更新料は返さなくてもよいと思います。

まあ、借主が今回の判決に基づいて
更新料の返還を求めてくるかもしれませんが。

ちなみに、今回の判決は消費者契約法を根拠にしているので、
今回の判決によっても更新料の返還を求めることができるのは
消費者であって、事業者は、
更新料の返還を求める余地はありません。


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2009年7月30日(木)

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