弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第490回
保証人は辞められない

中小企業が事業資金を借りるときは、
ほぼ間違いなく社長が借り入れについて連帯保証します。

その社長が、オーナー社長であれば、
一般的には、社長に万一のことがない限り、
社長の変更はないでしょうから、
あまりトラブルにはなりません。

問題になるのは、社長が株主から雇われているケースです。
あるいは共同経営で、
一方が、社長になっているケースです。

雇われて社長になっても、
オーナーと経営に対する意見が合わず
社長を辞めることはよくあることです。
共同経営でも、同様です。

このときに、もう社長ではなく、
会社を辞めたのだから、
保証人は辞めるということになるはずです。

しかし、この保証人になること、即ち、
保証契約は、
会社にお金を貸した金融機関と結ぶものなので、
まず、金融機関が「うん」と言わなければなりません。

この金融機関は、
新たな代表者が保証人になれば
変更を承諾してくれるところもありますが、
新たな代表者に資産がなければ
なかなか保証人の変更を認めてくれません。

また、金融機関が変更を認めてくれると言ったとしても、
オーナー側で意見が合わず
辞めていく社長とは、仲違いしているわけですから、
そんな元社長の代わりに、
代わりの保証人を立てることに積極的になるはずがありません。

すると、会社が借金を返さなければ、
雇われ社長が保証人として、全部被ることになって、
オーナーや新社長には
責任が問えない可能性が出てきてしまいます。

そこで、雇われ社長となったときは、
まず、なるべく会社の連帯保証人には、
オーナーになってもらい、
どうしても連帯保証人にならなければならないような場合は、
オーナーとの間で、辞めるときや
保証人としてお金を支払ったときなどについて
契約を交わしておくことが必要です。 

そうは言っても、オーナーも会社もお金がなければ、
自分だけ損をする可能性は高いです。

これは、共同経営のときでも同じことが起きます。
保証人は、なるのは簡単ですが、責任は重く、
保証人を辞めることは難しいので、
保証人になるときは、
万が一のリスクをよく考えてなってください。


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2009年9月17日(木)

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