弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第491
合格者7割だから会社を辞めたのに

司法試験の合格者が500人から2000人以上に増え、
司法試験は合格しやすくなったという話は、
何度かしたと思います。

しかし、この司法試験、新しい制度になるときには、
合格者は、受験者の7割くらいにするという話がありました。

ところが、新司法試験を開始したときの合格率が約48%で、
その後、徐々に減少し、今年は、約27%だそうです。

以前は、合格率は2%などと言われていましたから、
それに比べれば、かなりの合格率なのですが。

合格率が7割だと言うことを信じて、
会社を辞めてまで、法科大学院に通い、
司法試験を受けて受からなかった人は、
騙されたと思っているのではないでしょうか。

しかし、この合格者7割の数字は
どうやって出てきたのでしょうか。

例えば、合格者数が3000人くらいと決まっているのであれば、
受験者数を4300人くらいに絞らなければ、
合格者を7割とすることができません。

また、試験が、試験の出来、不出来にかかわらず、
毎年一定数を合格させるのか、
不出来の場合は、合格者を絞るのかによっても、
合格率は異なります。

この試験の出来、不出来についても、
法律の知識や理解を
どの程度問うのかということが問題となります。

この辺のことが確実になっていないのに、
7割という数字だけが一人歩きしたのが、
今回の結果だと思います。

その数字を信じて社会人を辞めてまで法科大学院に通って、
司法試験に合格できなかった方は、本当にお気の毒です。

ただ、会社を辞めて、法科大学院に通う
というリスクの高い行為を行う根拠とするには、
情報は、不確定だったんじゃないかと思います。

たとえ27%の合格率でも、昔と比べたら、
受かりやすくなったと前向きに考えて合格に向けて、
頑張っていただくほかはないと思います。

ただ、昔と違って、受験回数が3回しかないので、
そこもつらいところかもしれません。


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2009年9月24日(木)

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