弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第494回
賃貸版ブラックリスト

9月30日付の朝日新聞によると、
家賃保証会社が共同して、
家賃滞納のデータベースを作るそうです。

この話は、以前にも出されましたが、
一度家賃を滞納して、
データベースに掲載されてしまうと、
住居を借りられなくなってしまうという批判がなされ、
無くなったかのように見えました。

しかし、最初に参加する家賃保証会社は、
少なくなったものの、
家賃滞納のデータベースを作る
ということを貫くことにしたようです。

家賃滞納のデータベースを作るということですから、
家賃の支払に関する信用情報ということになり、
賃貸版ブラックリストということになります。

朝日新聞によれば、
家賃滞納データベースを作ろうとしている人たちは、
家賃をきちんと支払っている情報が記録され、
外国人など門前払いされる「社会的弱者」が
このデータベースにより、
住居を借りることが可能になると言っているようです。

しかし、滞納データベースのサンプルが少ないうちは、
滞納情報があれば貸さないけれども、
滞納情報がないからといって、
滞納がないことにはならないでしょう。

データベースに載らないところで
滞納をしているかもしれないからです。
だから、かなり苦しい言い訳に聞こえます。

じゃあ、僕がデータベース化に反対かというと、
そうでもありません。

貸主にしてみれば、一度貸してしまうと、
滞納などがあったときに、
滞納家賃を回収したり、明け渡しを求めたりするのに、
かなりの費用や労力がかかるのは、事実であり、
入居の際に、信用調査は必要だからです。

それに、金銭の貸し借りや
クレジットカードといった金融の分野では、
ブラックリストがあるので、
賃貸に関してはブラックリストを作ってはいけない
ということもないと思います。

それに、賃貸物件はたくさんあり、
空室率が高い物件の貸主は、
少々危ない借主でも貸すのではないでしょうか?

ただ、貸主全員が
賃貸版ブラックリストに加盟するような状況になり、
ブラックリストに載っている人には貸さないということが、
金融版のブラックリストのように徹底してくると、
大変な状況になるかもしれません。

お金を借りたり、
カードを使ったりしなくても生活はできますが、
住居を借りないと生活はできませんからね。


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2009年10月6日(火)

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