弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第496回
目の前のお金の誘惑

会社を経営する上で、
経営者を悩ます問題の1つに従業員が会社のお金に手を付ける、
いわゆる横領の問題があります。

依頼者から、うちの会社は小さな会社だから、
従業員のモラルが低くて、
こんなことが起きるのかと聞かれたことがあります。

これに対し、僕は、
従業員の横領は、銀行のような大企業で、
コンプライアンスに厳しく取り組んでいるような会社でも、
従業員が何億円も横領した
というニュースを見聞きするじゃないですか。
だから、小さな企業に限らず、
どの企業にも起こる問題なんですよ。
と回答しました。

実際、従業員の横領の相談は、規模の大小、業種を問わず
さまざまな企業から、相談されることがあります。

恥ずかしい話ですが、
僕と同業者、即ち、弁護士にも、
依頼者から預かったお金に手をつけてしまう人がいるようです。
ときどき、弁護士会から横領を理由に懲戒を受けています。

もちろん、横領は、犯罪ですし、
取ったお金は返さなければなりません。
従業員が会社のお金に手をつければ
会社もクビになって、収入も失います。

弁護士が依頼者のお金に手を付ければ、
業務停止や弁護士資格を失うことになります。

横領は、それほどリスクの高い行為なのです。
犯罪なので当たり前ですが。

それにもかかわらず、
横領のニュースは、頻繁に流されるし、
横領に関する相談も、なかなか無くなりません。

それだけ、目の前にあるお金の誘惑はすごい
ということなのかもしれません。


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2009年10月13日(火)

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