弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第498回
話合いがまとまったら署名捺印を

世の中、トラブルあるいはトラブルにならない段階の問題でも、
話合いをして合意するということはよくあることです。

しかし、この話合いで、話がついたのかどうか、
明確にわからないことも多く、
裁判にまで発展してしまうことがあります。

例えば、取引におけるトラブルで、
お互いが相手の不備を理由に、
損害賠償請求をしていたような場合、
お互い請求しないという話合いがなされたとしましょう。

一方当事者は、
この話合いで解決していると思っているけれども、
他方の当事者は、やはり自分の主張が正しく、
相手の主張が間違っていると思った場合、
裁判をしてくる可能性があります。

そもそも、話合いで解決したと思っていても、
その結果が自分に有利な方は、解決したと思っているけれども、
その話合いの結果が不利な方は、提案を受けただけで、
その内容で解決するとまでは思っていないことも多いです。

また、相手は、そういう解決方法もあるかもしれない、
あるいは、そういう解決ができたらよいかもしれない
という程度だったかもしれないのです。

もちろん、一度、その内容で解決すると明確に言っておきながら、
口約束であることをよいことに、
後で言ったことを、翻すということもよくあることです。

そういうことを考えると、相手の意思を明確に確認するために、
あるいは、後で、相手が言ったことを翻さないように、
話合いがまとまったならば、
文書にして、署名捺印をしてもらった方がよいのです。

文書にしたがらない相手もいますし、
文書で提案したら、それに署名捺印をしてくれない相手もいます。

こういう相手は、実際は、合意をする気がない、
あるいは、後で合意をひっくり返そうとしている可能性があり、
信用ができません。
こういう相手とは、話合いがついたと思っても
結局トラブルは解決していないという可能性が高いです。

だからこそ、話合いがついたら
文書にして署名捺印してもらうことが必要なのです。
文書には、日付を入れておくのも忘れないようにしてください。


←前回記事へ

2009年10月20日(火)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ