弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第499回
弁護士会がNHKの離婚ドラマに抗議

7月ごろの話ですが、
弁護士会がNHKの離婚に関するドラマに対し抗議した
という報道がなされました。

だいぶ、日にちが経ってしまったので、
みなさんも、そんな話しがあったかな
というくらいかもしれません。

弁護士会がドラマの内容に抗議するなんて、
どんな内容かと思うでしょう。
そこで、コラムに取り上げてみることにしました。

抗議の対象となった理由は、
ドラマの主人公が夫の不倫による離婚調停を巡り、
弁護士ではなく、行政書士に相談する場面があった
ということのようです。

これがどうして問題とされるかというと、
行政書士には、基本的に書類作成の権限しかなく、
その書類作成に必要な範囲でしか
相談に乗れないこととなっているからです。

紛争解決のための相談業務は、弁護士しかできないのに、
NHKのドラマで、行政書士に相談していると、
視聴者が、紛争になっている離婚についての相談は、
行政書士も乗ることができると誤解してしまう
ということが理由です。

厳密に言うと、ドラマの内容が、
行政書士、弁護士の権限を決めた行政書士法、
弁護士法に違反するから抗議したということになります。

一般のみなさんには、どの資格を持っている人が、
どういうことをしてくれるかわかりにくいとは思いますが、
相手とトラブルになった場合や
トラブルになりそうな場合については、
弁護士に相談した方がよいと思います。

他の資格者は、基本的に、裁判をすることができないし、
裁判の経験がないからです。

紛争は、裁判になったらどうなるか
ということを考えて解決策を考えるものなので、
この点から、トラブルの相談は
弁護士にした方がよいと思います。 

なお、少額の裁判については、
司法書士も裁判をすることができますが、
140万円以下の訴訟のみで、
離婚や遺産分割、破産は取り扱えません。

また、弁護士以外の資格者だからといって、
相談料や依頼する場合の費用が安いとも限らないようです。


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2009年10月22日(木)

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