弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第500回
先生は誰の味方ですか!

以前にも書いたと思うのですが、
弁護士をしていて、何よりもうれしいのは、
紛争がうまく解決し、依頼者に喜ばれることです。

逆に、弁護士をしていて、悲しいことは、
依頼者から、非難されたりすることです。

世の中の紛争について、
全て、相談者や
依頼者の思ったとおりにできるわけではありません。

相談料を支払って相談してもらっても、
相談者が望むような回答ができない場合もあります。

相談者「こういう請求はできますか?」
弁護士「こうこう、こういう理由でできません。」
相談者「それでは、こういう請求はできますか?」
弁護士「それは、こういう理由から、難しいと思います。」
相談者「では、こういう請求はどうですか?」
弁護士「それも、難しいと思います。」
相談者「じゃあ、何もできないんですか?」
弁護士「残念ながら、そういうことになると思います。」

そこで、相談者が業を煮やして、
今日のタイトルの
「できない。できない。って、先生は、誰の味方ですか!
私は、相談料を先生に払っているんですよ」
と言われることがあります。

相談者の方は、相手のしていることがおかしいと思っているから
相談に来ているわけなので、
そう言いたくなる気持ちはわかりますが、
裁判で通る見込みがないのに、
通る見込みがあるようなことを言うわけには行きません。

裁判を引き受けてしまって、実際負けたら、
後で、先生ができると言ったのに
ということにもなりかねません。

弁護士も、相談者から相談料をもらうわけですから、
相談者のために、裁判上通りそうな請求は無いか
ということを一生懸命考えているわけです。
しかし、それでも、できないと回答することはあるのです。

決して、相談者や依頼者に意地悪をしようとしたり、
相手方の味方をしようとしているわけではありませんので、
ご理解いただきたいと思います。


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2009年10月27日(火)

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