弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第504回
結婚のリスクは女性の方が大きい

最近、「婚活」と言われるように、
一生懸命結婚という目的のために
積極的に活動しないと結婚できないようです。

もちろん、弁護士のところに相談に来るのは、
離婚のためであって、
結婚のために相談に来る人はいません。

結婚のリスクは、
まず、人間一緒に生活してみないとわからない
ということにありますが、
これは、男女とも同じリスクを負っています。

結婚あるいは育児のために、仕事を辞めてしまうのは、
通常は女性です。

離婚の際によく相談を受けますが、
仮に、夫の浮気や暴力が原因で離婚することになったとしても、
結婚や育児のために仕事を辞めてしまったことについての
収入の補償や慰謝料を請求することは裁判上認められていません。

離婚のためではなくても、
働きたいと思ったときに、
一度仕事を辞めてしまうと働き続けたときよりも
就職する条件は悪くなります。

では、結婚しても仕事を続けた場合は、
リスクはなくなるかというと、そうではありません。

まず、姓が変わるのは、女性であることが一般的です。
仕事を続ける場合、
女性は、取引先などに覚えてもらった姓を変更したくなければ
戸籍上の姓とは異なる旧姓を名乗ることとなります。

しかし、戸籍とは異なるので、
公的な証明書が必要なときに面倒なこととなります。

仕事上でも夫の姓を名乗ることにした後で、離婚すれば、
また元の姓に戻るという問題が生じてしまいます。

もちろん、継続して夫の姓を名乗れますが、
離婚した夫の姓を名乗り続けることになってしまいます。

また、女性が結婚しても働き続ける場合、
夫との家事・育児の分担の問題が生じます。

いまどきの男性は、
家事や育児をうまくこなせるのかわかりませんが、
精神的にも能力的にも時間的にも、
家事や育児を半分ずつ負担できる男性は
少ないのではないかと思われます。

このように、結婚には、
男性と比べて女性の方がリスクが大きいわけです。

でも、報道などからすると、
結婚に積極的なのはリスクのある女性で、
消極的なのが男性のようです。

だから、あまりこれらのリスクは
問題じゃないのかもしれません。


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2009年11月10日(火)

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