弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第503回
弁護士が話をこじれさせる?

一般的に、事実関係に争いがなければ、
弁護士が当事者双方に付いた場合の方が、
トラブルは話合いで解決する可能性が高いです。

事実関係に争いがなければ、事案によって、
おおよそ請求できる金額は、法律や判例で相場が決まっており、
裁判をしても、その範囲でしか認められないのですから、
裁判をしないで、話合いで解決した方が、
無駄な争いをしないで済むし、早期に解決できるからです。

ただ、双方の弁護士が、法律や判例に照らした
合理的な金額での解決を図ろうとしても、
依頼主の一方あるいは双方が、感情的になり、
その金額では解決したくないということになると、
いくら弁護士がついて、合理的な金額で解決を図ろうとしても、
解決できません。

弁護士は、依頼者に
この金額で解決した方がよいという根拠を説明しますが、
最終的には、依頼者の意向に従わざるを得ないからです。

合理的な金額を提示している当事者にとっては迷惑な話ですが、
一方が感情的になって、あるいは、
欲をかいて話合いがまとまらないということは、
比較的よくあることです。
一般の方は、法律の専門家ではないので、
そういうことも仕方がないとは思います。

しかし、ときどき問題なのは、弁護士が主導して、
事案からして無理な金額を請求していると
思われることがあるからです。

相手の弁護士は、依頼者に言われて
裁判では認められないと思われる金額を
請求しているのかと思ったら、弁護士同士の交渉で、
どうやら弁護士自身もその金額を請求できると
考えているようなのでびっくりしたことがあります。
あまりいませんが、そういう弁護士もいるのです。
そういう相手には、
いくらこちらが合理的な金額の案を提示しても、
裁判で決着するほかありません。

そういう弁護士に依頼した相手方本人にとっては、
一見自分に有利な主張をしてもらえてよかったようですが、
裁判のために時間や労力はかかるし、
紛争がいつまでも続いた上に、
最終的には、交渉のとき提示された金額くらいしか
取れないのだから、損をするということになります。

もちろん、そんな相手をさせられる方は、
もっと困りますけどね。


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2009年11月5日(木)

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