弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第506回
父に貸したお金は相続でどうなる?

Q 私は父に対して、
借金の返済資金としてお金を3000万円貸していました。
父が残した財産は
自宅の土地建物(評価額3000万円)しかありません。
相続人は私と妹です。
相続財産は、全て私が相続するのが当然だと思いますが、
いかがでしょうか?

 あなたがお父さんにお金を貸していたとすると、
お父さんはあなたに借金を返済する
債務を負っていたということになります。

この債務も、プラスの相続財産と同じように、
法定相続分に従って相続することとなります。

そこで、法律によれば、自宅の土地建物については、
あなたと妹さんが2分の1ずつ相続し、
あなたに対する借金の返還債務も、
あなたと妹さんで2分の1ずつ、
即ち、1500万円ずつ相続することとなります。

したがって、当然に、
自宅の土地建物をあなたが相続するということにはなりません。
遺産分割協議で、妹さんに、
そのような遺産分割の内容で
遺産を分割することを承諾してもらう必要があります。

妹さんは、自宅の土地建物の2分の1を相続する代わりに、
あなたに対し1500万円を
返さなければならないことになりますから、
普通に考えれば、自宅の土地建物を
全部あなたに相続させる代わりに、
あなたからの借金もあなたが相続する
という内容で遺産分割協議をすることは合理的だとは思います。

しかし、妹さんは、そもそも、
あなたがお父さんに3000万円も貸した
ということ自体を信用できないとして、
争ってくるかもしれません。

また、自宅は、3000万円以上の価値があるから、
その差額分を支払うよう求めてくるかもしれません。

3000万円で取得できるならば、
自分が相続すると主張してくることも考えられます。

したがって、話し合ってみないとわかりませんが、
あなたの思っている内容で、
簡単に解決しない可能性もあります。


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2009年11月17日(火)

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