弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第507回
判決の代わりになる書類

裁判は何のためにするかと言えば、
判決を取るためです。

判決には、どういう意味があるかと言うと、
1つは、当事者の言い分のどちらが正しいかを
裁判所に判断してもらうことです。

例えば、一方は、相手のミスによって、
1000万円の損害が発生したから、
1000万円を支払えと主張します。

これに対し、相手方は、ミスはないから、
全く損害を賠償する必要はないと反論していたようなケースです。
このようなケースでは、
どちらの主張が正しいかを裁判所に決めてもらう必要があります。

判決を取る意味として、もう1つは、
判決に書かれた内容を実行できるということになります。

例えば、こちらが相手方に対して
売掛金が1000万円あること自体は認めているけれども、
なかなか支払ってくれないというケース。

このようなケースでは、当事者間で、
先ほどのケースのように
金額や請求権に争いがあるわけではありません。

しかし、相手方が支払ってくれないため、
トラブルになっています。

こういう場合に、判決を取ると、
相手方の財産を差し押さえて、換金し、
回収をすることができます。
先ほど書いたように、
判決の内容を強制的に実現することができるわけです。

第1のケースのように、
当事者間で、ミスがあるかないかなど
争いがあるような場合では、
判決を取って裁判所に
どちらが正しいか決着してもらうほかありません。

しかし、第2のケースでは、
相手方が請求金額を認めているので、
相手方が約束どおり支払わないときに、
差し押さえなど強制執行をできれば、
わざわざ裁判にして判決を取る必要がありません。

このような効力を持つ書類を
当事者間で作成することができます。
これが公正証書です。

金銭の支払いについて、相手方と話し合って、
公正証書にしておけば、
相手方が約束通り支払わないときに、
判決と同じように、
相手の財産を差し押さえることができます。


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2009年11月19日(木)

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